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Interview with T&B

 

ヒーローゴシップス(以下HG):今日はよろしくお願いします。

バーナビーブルックスJr(以下BBJ):こちらこそよろしくお願いします。

ワイルドタイガー(以下WT):ども、お手柔らかにお願いしまっす。

HG:お二人は最近プライベートでもよく一緒にいらっしゃるとか。

BBJ:そうですね。呑みに行ったりどっちかの家で映画観たり。

WT:だいたい仕事上がりの足でそのままって感じっすね。

HG:映画はどんなものを見るんですか?

WT:だいたいアクションかなー。俺難しい話嫌いだし。

BBJ:仕事にも役に立ちますしね。この間見たのも有意義でした。

WT:お前はランボーから何を学ぶ気なの。()

 

―どちらもお酒はイケる方です。

 

HG:お二人はもともと仲が良かったんですか?

WT:いやいや、最初はどう接したもんか試行錯誤でした。

BBJ:親子ぐらい歳の差もありますしね。

WT:ねえよそんなに!俺幾つだと思ってんの()

HG:何がきっかけで親しくなられたんですか?

WT:仕事で背中預けてれば自然に…ですかね。

BBJ:僕は仕事の後うちで一晩飲み明かした時かと思います。

WT:あんときは飲んだよなー。

BBJ:次の日うちが酒臭すぎて換気フル回転してホテルに逃げました。

WT:あれからだよな。お互いの家で呑むようになったの。

BBJ:何処の飲み屋の仕入れかっていうくらい買い込んでね。

WT:うちの田舎のスナックよりたぶん多い仕入れ()

HG:お二人ともお酒が強いんですね。どんなお酒を飲まれるんですか?

BBJ:僕は主にワインです。ロゼが多いかな。

WT:俺は焼酎とビール。庶民舌なもんで()

BBJ:僕この間タイガーさんに初めて日本酒呑ませてもらったんですが、

ヒバビジンっていう幻のお酒がとても美味しかったです。

WT:あれは旨かった。本当に旨かった。俺史上最高に旨かった!!

BBJ:まさかと思いますけど、誌上でそう言ったら

メーカーが送ってこないかなーとか思ってませんよね?

WT:そんなことないわけないだろう!

HG:あるんですね()

BBJ:大量にきたら僕も消費にご協力しますよ。

WT:お前も飲みたいんじゃねえか()

 

―やってみたいのはアウトドア

 

HG:もし何日かまとまった休みが取れたら、何をしたいですか?

WT:出動の呼び出しがなければだけど、スキーとかダイビングかなー。

BBJ:海とか山とか人が多くないところですね。

WT:フル装備だったらお前って絶対分かんねえしな。

HG:お二人ともなんでもこなしそうですね。

WT:俺の歳だとスノボよりスキーのほうがなじみがあるんだけど、

バニーはボードのほうが似合いそうだな。

BBJ:いつか一緒に行きたいですね。

WT:お互い他人とは体力差ありすぎて、他の奴とは行けないよな。

BBJ:何処まで行く気なんですか()

HG:お二人とも絵になりそうですねー。

WT:まあ、運動神経だけは二人とも人並み以上なんで。

BBJ:自然相手なら何か壊すこともありませんし。

WT:木が二、三本折れるくらいでってオイ!!

HG:自然は大切に()

WT:いやマジで、俺バニーとだったら世界の果てまで行ける気がするわ。

BBJ:それをやったら冒険バラエティの仕事まで突っ込まれますよ。

WT100パワーでエベレストをスキー滑降!

BBJ:マリアナ海溝でスキンダイビング!深海魚を捕獲せよ!!

HG5分後に大惨事じゃないですか(汗)

WT/BBJ:まあ、それもアリかな。二人だったら。

 

 

カリーナはそこまで読んで雑誌を床に叩きつけた。

「ばっかじゃないの!?どんだけ浮かれてんのあいつら!!

ネイサンはその雑誌を拾い上げ、ベンチに腰掛けた。

「あらあ、ずいぶん惚気たわねえ。あの雑誌相手に。」

もっともアポロンの圧力もあるからあそこも無茶はしないわね。

そんなことを思いながら、ネイサンは大衆向けゴシップを流し読みした。

「なに、その雑誌って変な本なの?

カリーナは少し心配げにネイサンを見た。

「変って言うか…。まあ、眉つば情報満載ね。」

二人の会話に各々トレーニングしていた面々も集まってくる。

「ヒーローゴシップ?あそこは捏造も多いんだよなー。」

アントニオは渋面で紙面を睨んだ。

「そうですか?僕初めて聞きました。」

「ボクも知らなかった。」

年少組が顔を見合わせる。

「昔は酷かったが、今はまだ笑える範囲に抑えているようだね。」

キースはいいながら文面を見た。

視線を交し、にこやかに笑う二人の写真は実によく撮れている。

「しかし、本当に仲がいいんだね。あの二人は。」

裏のないキースの言葉にネイサンはそうねと安心したように笑った。

「一昔前のヒーローゴシップなら『熱愛バディ』とか書かれてたわよ。」

「熱あ…。あるわけないじゃない!そんなこと!!

カリーナは頬を膨らませ、ネイサンの腕を掴んで抗議した。

「だから『あるわけないこと』を書く雑誌だったの。あそこは。」

<『そんなことないわけない』、んだけどね。実際は。>

ネイサンはヒーローゴシップが事実無根のネタ雑誌で有名なのは

あの二人にとっては幸いだったわねと内心思った。

「しかし若いバーナビーはともかく、虎徹はその辺分かってそうなもんだが…。」

アントニオはあいつ何を考えてるんだと顔をしかめた。

「変な噂が立ったら、パパラッチに狙われるのは虎徹じゃなくバーナビーなんだぞ。」

「まあ、そうなったら全力で彼を守るだろうけどね。タイガー君なら。」

全力で守るというキースの言葉にカリーナの意識が遠のいた。

「何よ…。そんなんだったら…。」

うん?と全員がカリーナを見た。

「そんなんだったら、あの雑誌のタイガーとの対談受けてもらったのに!!

わっと泣き出してカリーナはトレーニング室を飛び出した。

「カリーナ!!

友達のピンチにパオリンが慌てて後を追う。

まあ、あっちはほっといて大丈夫かと大人三人は

カリーナの処置をパオリンに任せることにした。

 

「ブルーローズとタイガーの対談?

「タイタンの上司が断ったみたいだね。無理もないけど。」

「ていうか、噂にはならんだろ。その場合。」

訳知り顔の年長組三人がそう言って頷き合う。

「あの…それはどうしてですか?

遠慮がちなイワンに一瞬三人はためらった。

「未成年にいうのは憚られるんだけどね…。」

「あの雑誌の好きなネタってのがなあ…。」

いい淀む男二人を眼の端で見て、ネイサンが溜め息をついた。

「不倫、二股、同性愛。あそこのゴシップの好きな三題噺よ。」

イワンは虎徹たちがそのどれに該当したのか気がついて青ざめた。

「それって…その雑誌があの二人に取材を持ちかけたのって…。」

「売れるからよ、単に。」

ネイサンはイワンにそれ以上追及するなと声で制した。

「まあ、あの二人にあの娘が参加したら雑誌も飛びつくだろうけど。」

「それはタイタンとアポロンが社運をかけて阻止するだろ。」

「未成年保護条例違反だ。だめだ。そしてよくない。」

それもそうかとネイサンは苦笑した。

「そうね、それにおバカコンビはともかく可愛い妹分が傷つくのは嫌だわ。」

 

「その妹分は大丈夫だろうか。」

キースは心配そうに彼女が出て行った扉を見つめた。

確かにあの子を宥めるのはパオリンには荷が重いかもしれない。

「しょうがないわね、ちょっと見てくるわ。」

ネイサンは雑誌をベンチに置くと、ふと携帯でSNSを見た。

今日のトレンド欄に並ぶハッシュタグに苦笑する。

<まあタイガー、せいぜい頑張りなさいよ。>

 

#ヒーローゴシップ年末特大号

#T&Bインタビュー

#家呑み

#二人だったら

#一緒に行きたい

#バニーとだったら世界の果てまで行ける

 

<これから狙われるわよ、あんたたち。もっとも…。>

ネイサンは嫣然と笑いログアウトした。

<そう言う障害があるから恋の炎はファーイヤーンするんだけど…ね。>

 

 

終り