Kiss×22
虎徹 7:00
ピピピッピピピッピ・・・
窓際で騒ぐ目覚ましを止めて、寝たまま大きく伸びを一つ。
ブラインド越しに差し込む朝の光がまぶしい。
隣の寝ぼすけ兎はまだ夢の中。
クリンクリンの金の髪があちこちに跳ねてて子どもみたいで可愛い。
気持ちよさそうに寝てるとこ悪いけど、そろそろ起きないと遅刻するぞ?
「バニー。」
そっとゆり起してうっすらと眼を開いたお前の額にキスを。
今日も良い一日でありますようにと祝福を込めて。
「おはようバニー。」
バーナビー 7:00
―…ニー、バニー、起きろー?
うう…もうちょっとだけ…。
虎徹さんちのベッドって狭いけど気持ちいい…。
「あと5ふんー…。」
掠れる声でそう言ったらおでこに優しいキス。
もう、そんなことされたら起きるしかないじゃないですか。
のろのろと起き上り眼をこする僕に彼がお早うと笑ってくれる。
「おはようございます…。」
掠れた声で言いながら、彼に抱きついてその髪にキスを。
眠りと目覚めが良いものだと教えてくれた人に思慕を込めて。
虎徹 10:40
締め切りを過ぎた書類の山に青息吐息。
必死で処理してるけど一向に終わる兆しが見えねえ。
俺にしては珍しく文句も言わず気も散らさず一心不乱にやってたら、
バニーが横から書類の山をかっさらった。
「今日のランチは虎徹さんの奢りですよ?」
そう言うが早いか凄まじい速度で詰み上がっていく処理済み書類の山。
おかげで昼飯前には片がついた。
「助かったよ!バニーちゃん大好き!!」
ほっぺたにキスの雨を降らせると、白い肌がさあっと紅くなった。
「も、もう!今度からはちゃんと自分でしてくださいよ?」
バーナビー 14:25
はあ、やっと終わった。
コンビでのCM撮影はカメラマンの拘りで押しに押した。
全神経を使って相手の求めるハンサムヒーローBBJを演じきる。
「バニー、お疲れ。」
控室に戻った僕に虎徹さんがくれるキスはいつも鼻先。
他人の求めるBBJの虚像は彼には要らない。
「お疲れ様でした。」
ついばむような愛玩の口づけで虚構の僕が本当の僕に戻る。
「やっと俺のバニーちゃんに戻ったな。」
低く渋い声で囁かれ、控室で僕たちは…。
虎徹 14:30
控室に戻ってやっとバニーにちょっかいを出せる。
妙に透け感のある衣装と照明で火照った肌がやけにそそる。
「やっと俺のバニーちゃんに戻ったな。」
低く囁いて耳に誘惑のキスを。
「ダメですよ、こんな所で…。」
真面目なバニーがそれでも背徳感でぞくぞくしてるのは計算済み。
「少しだけ…な?」
お前が欲しいと白い喉に口づけを。
その首筋にお前は俺のものだと執着の標を。
喉を鳴らすお前のその表情だけで今は満足してやるよ。
バーナビー 17:12
「なんとか無事に終わったな。」
今日の出動は虎徹さんの10年分の経験値に助けられっぱなしだった。
僕はまだ敵わないそのスキルに憧憬を込めて彼の瞼にキスを。
「珍しいな、バニーがそういう意味でしてくれるの。」
虎徹さんが擽ったそうに笑う。
「10年たったら僕もこうなれるかな。」
僕は彼の右手を取りその甲と指先にも口づけた。
素直じゃない僕は上手く言葉にできないから、敬愛と称賛を唇に寄せて。
「お前なら10年もかからないよ。良いアシストいつもありがとうな。」
そう言って僕の指先にもキスをくれるのがただ嬉しい。
虎徹 19:36
会社のロッカールームでアンダースーツを脱いで漸く出動が終わる。
ふと見ればバックファスナーを全開にしたバニーの白い背が眼の前に。
ああ、この背中を俺は守っているんだな。
気づくと俺はその背筋に口づけていた。
「うわ!?なんですかもう、こんなところで…。」
ばか、そういう意味じゃねえよ。
「お前の背中は俺が守るんだって自分に再確認してんだよ。」
俺の言葉にバニーはふっと眼差しを和らげた。
「それなら貴方も後ろを向いてくださいよ。」
素直に従えば背に感じる温かで柔らかな感触。
バーナビー 21:48
一人掛けのチェアに二人で座って呑みながら他愛ない話をして。
会話の合間にふと訪れた静寂を待っていたかのように唇を重ね合う。
好きですという想いを込めて日焼けした腕にキスを。
愛してますという言葉の代わりに舌を互いの口にねじ込む。
ふいに虎徹さんが僕の左手首に口づけた。
「あれ…手首ってなんでしたっけ…。」
虎徹さんは僕の問いにニヤリと笑う。
「『欲望』。ヒーローじゃない俺だけのうさちゃんが欲しい。」
ああ、虎の牙を前にした兎など弱いものだ。
「骨まで残さず食べてくださいよ…?」
虎徹 22:00
キスの最中に携帯が鳴った。
誰だよいいとこで水差しやがってと見ればアントンからの着信。
すると俺の掌にバニーがおずおずと口づけた。
「今は…僕だけを見てください…。」
そう懇願する寂しげな瞳に胸が高鳴る。
俺は携帯の電源を切って傍に投げ出した。
「貴方が僕だけ見てくれるなら…この身体好きにしていい…。」
満足そうに笑ったバニーは、そう言って自らTシャツを捲りあげ白い胸を晒す。
「ああ、お前の体は俺のもんだ。」
俺はバニーの上に跨り、扇情的な紅い突起に舌を這わせ思うさま吸い上げた。
バーナビー 22:40
「ん…。」
腹筋の筋を辿られ、臍の窪みに舌を入れられて腰に甘い電流が走る。
「男相手でも回帰願望ってあるのかな。」
虎徹さんは僕のお腹に顔を埋めたまま言った。
「そんなのあるわけ…。」
「ないか。」
虎徹さんは笑いながら僕の腰骨に噛みつくようなキスをした。
「胎内回帰よりこっちの方がいいわ。」
「貴方になら、縛られるのも悪くない…。」
その言葉に虎が舌舐めずりした。
虎徹 23:05
「ん…ふぅっ…。」
熱を孕んだ喘ぎ声をBGMに真っ白な脚の付け根をねちっこく蹂躙する。
「バニー、後ろ向いて。」
バニーは素直に俺に背を向けると、チェアの背もたれに抱きつくような格好を取った。
あられもなく突きだされた桃尻に俺はたまらずむしゃぶりつく。
「ああっ…。」
尻の割れ目から太腿にかけての魅惑の丘陵地帯に舌を這わせ、舐めて、吸い上げる。
皮膚の薄い場所じゃないから容易に痕は残らない。
でもこの身体は俺のものだ。
支配欲にかられるがまま、俺は太腿にキスの雨を。
バーナビー 23:35
二度も三度も交わって、それでも尽きない肉欲の衝動。
虎徹さんの上に跨って淫らに腰を振り、迎えた何度目かのエクスタシーの後、
僕は椅子から降りて虎徹さんの脛に口づけた。
「おいおい、そこから下は倒錯的過ぎねえ?」
脛へのキスは服従の証だぞと虎徹さんは言った。
「こちらの方がお好みですか?」
僕は虎徹さんの足首を持ち、その甲に爪先に唇を寄せる。
「服従、隷属、崇拝…。僕にはどれも同じことですよ。」
もう貴方なしでは生きていけない身体になってしまった。
責任取ってくださいねと笑えば貴方は苦笑しておうと答えた。
虎徹 24:10
シャワーを浴びてベッドルームに戻ると既にバニーは夢の中。
今日も朝から晩まで忙しかったもんな。
仕事中のキラキラ王子様も、オフタイムの可愛いバニーちゃんも、
さっきまでのちょっぴり淫乱ウサちゃんも全部可愛いけど。
でも、こうやって俺の前で無防備に眠っているバニーは別格だ。
「おやすみバニー、愛してるよ。」
俺は眠るバニーの唇にそっとキスした。
また明日も一緒に頑張ろうな。
俺はブランケットをめくりバニーの隣に潜り込んだ。
少し低めの体温を抱いて、俺もやがて眠りに落ちて行く・・・。
終り